通販で買えるようなおしゃれなカレンダーの表紙をめくる時に出てくる思い出

カレンダーイメージ

年末になると、父は欠かさずカレンダーを買って帰ってきたものです。
商社の営業マンだった父は、多くの取引先を持っており、常にどこかに出張しているような人でした。
月に何度も帰ってくるわけではなく、見かけるのは寝ている後姿のみだったのです。

そんな父を恨むこともありましたが、年に数回だけはそんな父が誇らしく思える日がありました。
その中の一つが、年末に買ってくるカレンダーだったのです。

家は地方ではあったものの、父は都心勤め。
今では通販で簡単に手に入るようなおしゃれなカレンダーでも、そのころは見かけることすらありません。

通販を除けばわかるような一覧もなく、どんなものがカレンダーとしてあるのかも知らないような世代でした。
年末に買ってきてもらえるおしゃれなカレンダーほど、なんだか都会っ子になったような気分に浸れる瞬間はなかったのです。
この時ばかりは、父を誇らしく思ったものだったのです。

毎年買ってきてもらったカレンダーの表紙は、切り取っても別にとっておいたほどでした。
めったに見かけないようなデザインで、おしゃれな雰囲気は切り取っても失われることがなかったからです。
これを友達に自慢したことは言うまでもなく、自分だけ特別なんだという思いを抱けた瞬間でした。

今では通販を使えば、どこにいても簡単に手に入るでしょう。
そんなありがたい時代だからこそ、カレンダーも大切に使っていきたいなと思うのです。
表紙をとっておくこともすでにありませんが、一枚目をめくる瞬間は、今でも大事な思い出がともに湧き出てくるのです。

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